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人口3万人のしなびた漁村・深センが「世界最先端都市」になるまで
2018-6-11 16:10:23

日本企業との協業のあり方

近藤: 深圳の企業が世界を見据え始めたということは、深圳を視察して痛感しました。例えば「華強北」には、世界中からバイヤーがやって来ていますし、DJIは新製品が完成すると、まず英語のプロモーションビデオを作製して、そこから中国語に訳していくと聞きました。

于智栄: 今年も1月に、世界最大の家電見本市「CES 2018」が、米ラスベガスで開催されましたが、なんと会場内の全ブースの約8分の1を、深圳の企業が占めたのです。400社以上の深圳企業が参加し、まるで「華強北」がラスベガスに引っ越ししたかのようでした。

しかもその多くが、AI(人工知能)など最先端技術を駆使した製品を展示したものでした。おそらく、シリコンバレーの企業にも衝撃を与えたのではないかと思います。

近藤: それは大きな衝撃を与えたことでしょう。日本でも、「CES 2018」でホンダがコミュニケーション型ロボットを展示したとか、パナソニックが未来の車内の空間を発表したとかいうことが話題になっていました。しかし深圳企業がそれほど進出したということは、初耳です。

于智栄: まさに「深圳速度」で、いまがチャンスと見たら、一気呵成に攻めるのが、深圳企業の特徴です。特に、深圳は電子産業を中心に発展してきたので、AI(人工知能)やロボットとは親和性が高いのです。

近藤: 海外戦略と言えば、習近平主席は発足した2013年以来、「一帯一路」という外交政策を推進していますね。陸上と海上で中国とヨーロッパをつなぐ「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」構想ですが、そこに深圳企業も関係してきますでしょうか?

于智栄: もちろんです。深圳港は、「21世紀海上シルクロード」の起点にあたります。例えば、TRANSSION(伝音)の携帯電話は現在、アフリカ市場でシェア1位になっていますが、深圳港からアフリカに向けて積み出されています。

近藤: なるほど。おそらく中国企業の世界進出をアメリカが脅威に感じたのだと思いますが、3月22日にトランプ大統領が対中経済制裁を発表して以降、米中の貿易戦争が起こっていますね。これをどうご覧になっていますか?

于智栄: トランプ政権が制裁を科したZTE(中興通訊)は、全世界に8万人もの社員がいますが、本社は深圳ですし、深圳市としても一定の影響を受けています。貿易戦争というのは、双方にとって害をもたらすだけで、益はもたらさないのだという自覚を持つべきだと思います。21世紀は自由貿易とグローバリゼーションの時代であり、保護貿易の時代ではありません。

近藤: まったくその通りですね。6月2日に閉幕したG20蔵相・中央銀行総裁会議でも、アメリカは総スカンを喰っていました。あのやり方では、残念ながら世界中を敵に回す気がします。

最後に、深圳企業と日本企業の今後の協業のあり方を、どう展望されていますでしょうか?

于智栄: 繰り返しになりますが、1980年に深圳が経済特区に指定されて、日本企業がどんどん進出してきました。BYDにしてもDJIにしても、日系企業のお家芸である「工匠精神」に感銘を受け、高い目標にして努力を重ねてきたのです。そのため深圳企業は現在でも、日本企業には尊敬の念を抱いています。

今後は、そんな深圳企業と日本企業が、第三国においても、もっと協業していったらよいと考えます。前述のように、深圳企業と日本企業の長所は異なっています。ということは、両者が協業すれば、より大きな力を発揮することが見込めるということです。

そもそも中国と日本は、世界第2位と第3位の経済大国です。これからは両国の発展はもとより、世界の発展にも共に貢献していくべきと思います。電子産業の「異次元的発展」

電子産業の「異次元的発展」

近藤: 1980年に鄧小平が深圳を経済特区に指定した時、「この町はいつか香港に肩を並べるようになる」と豪語したら、中国内外で失笑を買ったというエピソードがありますね。だがいまや、鄧小平の予言は的中した。あと5年もすれば、香港よりも経済規模ははるかに大きくなるでしょうね。

于智栄: 仰るように、深圳はもともと香港を手本にし、香港を目標にして作った都市ですから、感無量です。

香港も、1997年に中国に返還されて20年が経ちましたし、1999年にポルトガルから返還されたマカオも、来年には20周年を迎えます。

いま中国政府が進めているのは、深圳、香港、マカオ、広州などの一体化した経済発展、いわゆる「粤港澳大湾区」(ユエガンアオダーワンチュイ)構想です。一例を挙げると、この秋には、深圳と香港に高速鉄道が開通し、両都市間はわずか14分で結ばれます。

近藤: そうなると、深圳と香港は完全に、互いに「通勤圏」になりますね。昨年7月には、習近平主席も香港を訪れて、盛大に返還20周年を祝っていましたが、香港の中国化も進むのではないですか。

于智栄: 深圳は製造業、とりわけ電子産業に優れ、香港は欧米に直結した金融業に優れています。両都市の利点を活かして、互いに発展していければよいと思っています。

近藤: その電子産業ですが、深圳は本当に「異次元的発展」を遂げていますね。

私の理解では、初めに1次元のスマホありきです。香港の調査会社「カウンターポイント」のデータによれば、2017年第4四半期(10月~12月)の携帯電話の世界シェアは、1位米国アップル19.1%、2位韓国サムスン18.2%、3位中国ファーウェイ(華為)10.6%、4位中国OPPO7.2%、5位中国シャオミー(小米)6.6%、6位中国vivo5.5%、その他のメーカーが32.8%です。

このうち世界で3位、4位、6位が、深圳か、もしくは深圳近郊に本社があります。特にファーウェイは、来年から本格的な実用化が始まる次世代スマホの核心技術である「5G」の分野で、世界最先端を走っている。この圧倒的なスマホ技術が、「0次元の点」として深圳の基調になっている。

続いて、その基礎の上に、BYD(比亜迪)を始めとする躍進著しい電気自動車や自動運転車などが乗っかる。これが「1次元の線」です。そこに、「北斗衛星ナビゲーション」を使ったカーナビなどが加わって、「2次元の面」としての新たな都市を構築していく。

さらにその上に乗っかってきたのが、「3次元の空間」を支配するドローンです。世界の商業ドローンでシェア7割を占めるDJI(大疆創新)の存在は、「深圳モノづくり」の新たな顔をなっています。

深圳でDJIの幹部に話を聞いたら、「そのうち家の玄関はベランダになる」なんて言っていました。ドローンが飛び出す場所が家の玄関だという意味です。深圳の人たちは、まさに「ドラえもん」の世界のようなことを真剣に考えているんですね。

于智栄: 「異次元的発展」とは、ユニークな解釈ですね。加えて私が指摘したいのは、そういった新たな深圳発の「創新」(イノベーション)が、従来型の産業にも大きな影響を与えているということです。

例えば、ドローンが発達したことで、農業分野で大きな変革が起こりました。広大な農地でも常に上空から俯瞰的に観測できるようになったり、上空から農薬を撒いたりもできるようになったのです。

近藤: この頃は日本でも、災害時の調査や復興などに、ドローンが使われるようになっています。2016年4月の熊本地震の際には、地震発生の翌日に、国土地理院の調査隊がDJIのドローン「ファントム3」を持参して現場入りしました。そこで撮影された映像は衝撃的で、日本でDJIという会社が一気に広まるきっかけになったと思います。

今年1月の白根山の噴火の際にも、噴火の様子を調査するのにドローンが活躍しました。国土地理院のホームページで「DJI」を検索したら、26件もヒットします。何だかDJIが国土地理院のシステムそのものを変革しているようなイメージです。

第5次日中経済ブーム

于智栄: そうですか。深圳の企業が復興などに役に立ててうれしい限りです。

近藤: ただこれまでは、「中国が部品を提供して日本が製品を作る」というのが、日中協業のパターンでした。ところがいつのまにか、「日本が部品を提供して中国が製品を作る」という逆転現象が起きるようになった。

これまでは、いわば「日本が主で中国が従」だったのが、いまや「中国が主で日本が従」という、新たなパターンが生まれつつあるのです。深圳を視察し、その圧倒的なパワーを見せつけられると、こうした傾向は今後、ますます強まっていくと思いました。

于智栄: 私は日本に来て7年になりますが、日本が長年培った技術力には、敬服しています。一方で、世の中の変化に対応するスピードなどでは、中国企業に一足の長がある。それぞれの長所が異なるからこそ、中日の企業は新たな協業の時代を迎えたのだと思っています。

近藤: そうですね。昨年11月に、安倍晋三首相と習近平主席が6回目の日中首脳会談を行って、日中は一気に「雪解けムード」となりました。それから新たな日中の経済ブームが、いま起こっているわけですが、数えてみたら1972年の日中国交正常化から、5回目なんですね。

最初が、1978年に日中平和友好条約が締結され、1980年から日本の対中ODA(政府開発援助)が開始された1980年代で、日本の製造業の中国進出が起こった。

2回目は、1992年に鄧小平が深圳などを巡って「改革開放を加速せよ!」と発破をかけて、中国が社会主義市場経済の道を歩み始めた時です。

3回目は、2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟し、国際ルールに基づいた貿易を約束して以降です。

4回目は、2008年の北京オリンピックの直前で、リーマン・ショック後はますます世界経済の中国依存度が強まっていった。

でも、これまでの日中間の経済ブームは、いずれも日本企業が中国市場に進出するという一方的なブームだった。それが今回の5回目のブームでは、初めて逆のベクトルも作用し始めた。すなわち、2018年は中国企業の日本進出元年になっているわけです。

于智栄: たしかに、私が日本へ赴任した2011年と現在とを比較すると、隔世の感がありますね。

深圳市の東京事務所は、ブリュッセル、ロサンゼルスに続いて3番目の海外拠点として、2005年1月に設立されました。当時の深圳は、まだまだ発展途上で、日本は4番手の貿易相手でした。そこで、深圳の製造業を発展させるために、多くの日本企業に深圳に進出してもらいたいと考えて、この事務所を設立したのです。

もちろん、深圳の企業の日本進出ということも考えてはいました。例えば、ファーウェイが日本に進出したのが、まさに2005年10月でした。しかしそれはごく少数の事例であって、業務の大部分は日本企業の深圳進出のサポートでした。

それが現在では、中国語で言う「走出去」(ゾウチューチュイ=中国企業の海外進出)と、「引進来」(インジンライ=海外企業の中国進出)が、双方向で活発化しています。2017年には、計44社もの深圳企業の日本進出をサポートしました。

最近感じるのは、ファーウェイやDJIのような深圳の大企業は、広い世界戦略の中の一部として日本戦略を捉えるようになってきていることです。もう一つは、大企業ばかりでなく、中小企業もどんどん日本に進出するようになってきたことです。そのため今年も、中日双方の視察団のサポートなどで、忙しい日々が続いています。

日本企業との協業のあり方

近藤: 深圳の企業が世界を見据え始めたということは、深圳を視察して痛感しました。例えば「華強北」には、世界中からバイヤーがやって来ていますし、DJIは新製品が完成すると、まず英語のプロモーションビデオを作製して、そこから中国語に訳していくと聞きました。

于智栄: 今年も1月に、世界最大の家電見本市「CES 2018」が、米ラスベガスで開催されましたが、なんと会場内の全ブースの約8分の1を、深圳の企業が占めたのです。400社以上の深圳企業が参加し、まるで「華強北」がラスベガスに引っ越ししたかのようでした。

しかもその多くが、AI(人工知能)など最先端技術を駆使した製品を展示したものでした。おそらく、シリコンバレーの企業にも衝撃を与えたのではないかと思います。

近藤: それは大きな衝撃を与えたことでしょう。日本でも、「CES 2018」でホンダがコミュニケーション型ロボットを展示したとか、パナソニックが未来の車内の空間を発表したとかいうことが話題になっていました。しかし深圳企業がそれほど進出したということは、初耳です。

于智栄: まさに「深圳速度」で、いまがチャンスと見たら、一気呵成に攻めるのが、深圳企業の特徴です。特に、深圳は電子産業を中心に発展してきたので、AI(人工知能)やロボットとは親和性が高いのです。

近藤: 海外戦略と言えば、習近平主席は発足した2013年以来、「一帯一路」という外交政策を推進していますね。陸上と海上で中国とヨーロッパをつなぐ「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」構想ですが、そこに深圳企業も関係してきますでしょうか?

于智栄: もちろんです。深圳港は、「21世紀海上シルクロード」の起点にあたります。例えば、TRANSSION(伝音)の携帯電話は現在、アフリカ市場でシェア1位になっていますが、深圳港からアフリカに向けて積み出されています。

近藤: なるほど。おそらく中国企業の世界進出をアメリカが脅威に感じたのだと思いますが、3月22日にトランプ大統領が対中経済制裁を発表して以降、米中の貿易戦争が起こっていますね。これをどうご覧になっていますか?

于智栄: トランプ政権が制裁を科したZTE(中興通訊)は、全世界に8万人もの社員がいますが、本社は深圳ですし、深圳市としても一定の影響を受けています。貿易戦争というのは、双方にとって害をもたらすだけで、益はもたらさないのだという自覚を持つべきだと思います。21世紀は自由貿易とグローバリゼーションの時代であり、保護貿易の時代ではありません。

近藤: まったくその通りですね。6月2日に閉幕したG20蔵相・中央銀行総裁会議でも、アメリカは総スカンを喰っていました。あのやり方では、残念ながら世界中を敵に回す気がします。

最後に、深圳企業と日本企業の今後の協業のあり方を、どう展望されていますでしょうか?

于智栄: 繰り返しになりますが、1980年に深圳が経済特区に指定されて、日本企業がどんどん進出してきました。BYDにしてもDJIにしても、日系企業のお家芸である「工匠精神」に感銘を受け、高い目標にして努力を重ねてきたのです。そのため深圳企業は現在でも、日本企業には尊敬の念を抱いています。

今後は、そんな深圳企業と日本企業が、第三国においても、もっと協業していったらよいと考えます。前述のように、深圳企業と日本企業の長所は異なっています。ということは、両者が協業すれば、より大きな力を発揮することが見込めるということです。

そもそも中国と日本は、世界第2位と第3位の経済大国です。これからは両国の発展はもとより、世界の発展にも共に貢献していくべきと思います。

 

 
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